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2014年07月22日

NVIDIA Inspector 覚書(おぼえがき) グラフィックス編 - Common セクション

その5、Common セクションです。
人によってはあまり関わりのないパラメーターが用意されています。


Common - NVIDIA Inspectorさあ、後半戦の始まりですよ。きっと初日3日分は「もうわかってるから」なんて方もいらっしゃるのでしょうけど、このセクションは「なじみがありそうで、なかなかない」部分となります。言葉も「何となくわかるけど、はて?」

この項目は何をするところかといいますと、「影表現の拡張設定」「電力消費やマルチディスプレイ時の設定」の2点。前バージョンまではここに「垂直同期」のお話があったので、かなりボリュームがありましたけど・・・だいぶコンパクトになりました。


私が取り上げているPSO2なるタイトルでは前者の影表現にとてもこだわりのある方が多いようで・・・興味がないのに一番ページを割いている部分でもありますが(汗笑)。

ほかのゲームタイトルでも最近注目を浴びられているようで、「アンビエントオクルージョン」なる言葉で徐々に浸透中、といったところでしょうか。広く知られるようになったのは、ファイナルファンタジー14でもあるみたいですけどね。

(元祖は国内ならカプコンさんのロスト・プラネットあたりでしょうか)


では、まいりましょう・・・。


「Ambient Occlusion setting」

アンビエントオクルージョン機能を有効にするか? またはその品質は? といった項目です。選択肢としては初期値の「Off」のほかに「Performance」「Quality」「High quality」の3つが用意されています。

本項目を利用する際には初日に解説した「Ambient Occlusion compatibility」を設定しておかねばなりませんので、気をつけてくださいね。そちらにセットした値を、本項目で有効にするといった意味合いになります。

主に、標準ではサポートされていないタイトルに対し、「強制的にAmbient Occlusionを適用する」といった意味合いになるようです。

なお、ドライバーバージョン・331.40 Betaから、新たに実装された「HBAO+ (Horizon Based Ambient Occlusion Plus)」が使えるようになっています。詳細についてはこちらでも参考にしてみてください。

PSO2 アンビエントオクルージョン(HBAO+)の簡単な比較


Performanceでは古くから用いられてきた「SSAO (Screen Space Ambient Occlusion)」での描画、Qualityで「HBAO+」、となります。もちろんHBAO+が負担は大きいわけですが、SSAOと比べてわずかに増えるだけで、品質はかなり向上しますよというのがNVIDIAさんのアピールポイントとなっています。上記リンクのムービーをご覧になっても、十分伝わるのではないでしょうか。

なお、High qualityはNVIDIA社とは異なる、サードパーティー製のプラグインとして導入されているようですので、同社が携わっていない非公式のモードとなります。いずれにしましても、かなり重たいオプションとなりますので、影にこだわりのある方は3つの中から使い比べ、見栄えや動作速度が最も適したものを選べたらいいのではないでしょうか。


「Ambient Occlusion usage」

こちらは一部タイトルで「アンビエントオクルージョンを使います」と「宣言」するオプションとなります。本サイトで取り上げているPSO2は本項目は特に使わず、上記Ambient Occlusion settingのみで動作するようになっています。

もしもそちらを設定してもうまく効果が現れないような場合、本項目をOnにすることで解決できる場合があります。試してしてみるのもいいでしょうね。ただ、ほとんどの場合は「Ambient Occlusionに正式対応したタイトルにてあらかじめ設定済み」が多いようです。

ですが、初日のビット立てのお話通り「適切なアンビエントオクルージョン・ビットが立っていないと、効果はまるで認められないでしょう」となりますので。改めて「基礎の基礎が問われる」ことを、思い知らされるのではないでしょうか。密接につながり合っているというわけです。


「Extension limit」

本項目は旧作・過去の一部タイトルで「シェーダーなどに独自の設定を用いているソフト」に対し、設定する特別なオプションとなるようです。

興味ある方は開いてみると気づかれると思いますが、かなり昔のタイトルなのですよね。いかにもDirectX 9が出たあたりの、まだユニファイドシェーダーになっていなかった頃のタイトル。

ゆえ、そのような「リストに記載されているような、ごく一部のタイトル」のみでしか使われない項目となるため、ほとんどのタイトルで使用されることはありません。「Off」のままで問題なしです。

言い換えると、必要になるようなソフトには必ずフラグが立てられている、ということです。


「Muliti-display/mixed-GPU acceleration」

文字通り、「マルチディスプレイ周りにおけるGPUの最適化モード」です。代表的な選択肢としては「Single display performance mode(1画面のみに出力を最適化する)」「Compatibility performance mode(互換性重視のモード)」「Multi display performance mode(2台以上のモニタに対して出力を最適化する)」の3つくらいで、下にあるものは考えなくていいものです。

大半の方は1つのディスプレイに映像を出力されていると思いますので、Single displayが解となることでしょう。もしも2台なり3台なりのマルチディスプレイ・・・最近ではよく「サラウンド」と呼んだりしていますが(取り囲まれるの意)、そのような環境をお持ちの方であれば Multi display にすればいいと思います。互換性モードはアプリケーションが「何度も異常終了=クラッシュする」ときにでも用いてみるといいかも。


「Power management mode」

いわゆる電力管理に関する項目です。人によってこだわりの出る部分と思われますが、設定値としては「Adaptive(適応)」「Prefer maximum performance(最高性能)」の2つがあります。

前者は「負荷が低いときはGPUもそれに合わせて低消費電力化を図る」ため、電気代も多少なり節約できますし、何より「発熱が減ってファンの騒音が減らせる」点が一番大きいです。ファンの回転数が落ちれば、それだけ埃などを吸い込む割合も減ることになりますので。ゲームが常時高負荷、というのは考えにくいため、私としては前者がおすすめです。

が、一部の方は「わずかな処理落ちでゲーム体験を下げるような真似はしたくない」ということで、「常時、そのカードが持てる最高の性能を引き出す」設定がほしい、というご希望もあるはずです。

そのような場合は後者を選ぶといいでしょう。その分発熱が増え、消費電力もあがり、ファンの騒音も上がってしまうことになりますので、マシン環境にはくれぐれも細心の注意を払ってくださいね(特に夏場)。低廉なカードにはおすすめいたしません・・・(冷却機能も抑えられている可能性が高いため)。


「Shadercache」

ドライバーバージョン・337.88 WHQLから搭載された新機能で、お持ちのパソコンのハードディスク/SSDにシェーダー用の専用キャッシュ(一時格納場所)を用意することで、「ゲームのローディング時間の短縮と,CPU負荷の低減を図れる」ようにするものです。

主にオープンワールド向けのゲームに効果を発揮するようで、頻繁にエリア切り替えをするようなタイトルではあまり恩恵が得られないかもしれませんが、全くないよりはある方がいい、とのことです。ゆえ、NVIDIA社の標準設定は初期値ですでに有効となっており、無効にする意味がない、とされています。

私の遊んでいるPSO2においては、顕著に効果が認められるといったようなことはないようですけど、NvIDIAさんがそうおっしゃるくらいですし、有効のままでいいのではないでしょうか。ちなみにキャッシュの場所は「C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Temp\NVIDIA Corporation」、となります。

(隠しフォルダですので、通常アクセスはできないようになっています)


「Show PhysX Visual Indicator」

PhysX Visual IndicatorGeForceの特徴ともいえる、物理演算エンジン・PhysX(ふぃじっくす)。それがゲーム内で使われているかどうかを示すための項目です。初期値はOffで、それ以外に選ぶ必要はないでしょう・・・ともいえる部分。

Onの場合はこのように、対応しているソフトならオーバーレイ表示で文字が現れますが・・・。CPUで処理するか、GPUで処理するかは自動判断します。プログラムによっては明示指定となっている場合もあり、注意が必要です。

多いケースが「CPU処理になっているのでGPU側にまとめたい」のようですけど、CPU以外に変更不可なものは「仕様」ということで割り切りましょう。


「Threaded optimization」

「スレッドの最適化」と呼ばれるパラメーターで、ドライバーの処理をマルチコアCPU向けに最適化するか否かといった部分になります。基本はAuto。

ソフトによってはOnに明示指定することでパフォーマンスアップを図れることもあるようですが、大半のソフトでは無効のままのようです。同社はAutoで自動判別するとされていますので、そのままでいいでしょう。

スレッド数よりもクロック周波数の高いCPUがゲーム面では性能が上がるといわれ続けていますが、年内~年明けに出るとされる「DirectX 12」ではその命令を処理する部分・・・APIの層が薄くなり、よりマルチスレッド向けに動かせるように改良を図るのだとか。そのようになってくれば、コア数の多いCPUにも動作速度改善のめどが立てられるようになるのかも知れませんね。

GPUの進化に対応したMicrosoftの次世代API「DirectX 12」の背景


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Commonセクションはこんな感じで、「影を司るアンビエントオクルージョン」と、「GeForce GPUの大まかな動き方を決める部分」の2つが焦点となっています。

アンビエントオクルージョンはお話の通り、「適切なアンビエントオクルージョン・ビットがたっていないと、効果を全くなさない」点に気をつけてくださいね。こちらでQualityなりにセットしていても、

ビットが全く設定されていなかったり、そのタイトルで対応しないものを選ばれていても。画面には、「何の効果も現れません」から。そのため、適用後、スクリーンショットなどを撮影し、その画面を比較する・・・といったような、地道な作業が必要になります。がんばってみましょう。


移転した項目となる垂直同期を含め、このセクションは「とにもかくにも試行錯誤を要求される」ところになっています。

ただし、一度見いだしてしまえば、こちらもほとんどいじることのなくなるパートでもありますので。面倒でも、最初はいろいろ試してみることをおすすめします('-'*)


『PHANTASY STAR ONLINE 2』公式サイト
http://pso2.jp/

From : lavendy | 19:45