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2012年12月24日
動画で感じるアンチエイリアシングの効果・後編 ~ No AA vs SGSSAA系 vs SSAA Combined
アンチエイリアスがうまく働くと、美麗な画面で遊べるのです('-'*)
NVIDIA,独自のアンチエイリアシング技法「FXAA」「TXAA」をアピール。いまあらためて振り返るアンチエイリアシングの歴史
昨日の話題の続編となりますが、これでようやく納得できる部分もあると思います。そう、実際のフィールドにてその効果を確認するというものです。
といっても、ほとんど紹介され尽くしているので(汗笑)、改めて取り上げる意味合いは少ないのかもしれませんけど・・・今回は何よりも「実際の画面の大きさ」で取り上げますので、その効果の度合いがどれほどのものか、明確にわかるものと思います。
今までに紹介してきている数多のムービーは、実際に遊んでいる画面を1/4に縮小して(縦横それぞれ半分、ということですね)作成しているため、言い換えれば圧縮映像になるわけですよね。それがごまかしのきかない1:1のスケールとなることから、すぐにジャギーなりクローリーなりが把握できるわけです。
格好のお題となるのが・・・そう、今までのアンチエイリアシング動画で取り上げてきた「市街地」。アークスシップの遺跡といわれている場所ですが、建物や路面、その他のオブジェクトが多数 直線 の線分を含むものが多く、そちらをカメラぐるぐる動かしますと・・・すぐに先日のようなクローリーが発生しますので、うってつけの素材となります。
本サイトの検索語句に「PSO2 ちらつく」なんて言葉もあるくらいなので、きっとこのクローリーがみなさんのところでいろいろと発生してしまっているのではないかな、って。その正体は・・・まさしく「テクスチャの中に描かれた直線」となるわけです。建物のガラスの枠や、コンクリート壁の溝など、ですね。
また、尖塔なども格好の的となっており、アンチエイリアスの適性をはかるにはうってつけの場所です。PSUでの媛さんのお顔がアンチエイリアシングの画像候補の一番となってしまったように(汗笑)、PSO2はクローリーが盛大に発生するため、これまた格好の材料になるのでは・・・とか思ったり思わなかったり。
こほん。それではまず最初のムービーが・・・「何も加えていない、そのままの映像」、です。いかがでしょうか。もう、動かすだけでちらつきがすぐに確認できるので、目にはあまりよろしくない印象ですよね。SFチックな表現を出すために、やむを得ないところもありますけど・・・。
問題なのは、PSO2クライアントの中にある アンチエイリアシング On の機能が、まるで役に立たないということ。入れてもちらつく、さらにはぼけてしまうようでは本末転倒もいいところです。もちろん、よ~く見てみると「パフォーマンスロスを極力抑えながら、効果もほどほどに感じられる性能」にまとめている印象は受けるため、取り立てて悪いわけではないのです。
ただ、先日も記したわけですけど・・・アンチエイリアシングって結局、「負荷をかけてでも綺麗に見せたい人が選択するオプション」のため、
『自分が狙った効果が引き出せないような、中途半端なオプションでは用意する意味がない』
というものです。その意味さえわかっていれば、「On/Off」のみだけしか選べないなど、あり得ないわけです。人によってその効果の受け止め方は千差万別ですのに、たった2つだけで納得できる人なんてどれだけおられるのか・・・気になるところです。
とはいえ、本サイトをご存じない方なら、その2つのみでも納得はできるのでしょうけどね。知ってしまったが最後・・・。よく私が言う「知らぬが仏」とはこのことだったりします(汗笑)。
そして、こちらがSGSSAA系を適用した市街地になりますが・・・ご覧のようにクローリー/ジャギーが嘘のように消えますよね。これぞアンチエイリアスの本質となるわけです。もちろん除去度合いが高いほど、グラフィックスカードにかかる負荷も多大なものとなるため、誰しもが本設定を適用できるわけではありません。
それでも「環境がよければこのようなグラフィックスで楽しめる」ことが、「PSO2クライアントであらかじめ用意されて」いれば、「それを目指したくなるのもまた人間なのでは」・・・といいたいわけなのです。
もちろん、選ぶ人はわずか数パーセントでしょうけど(汗笑)、そんな画面でPSO2を紹介などされれば、興味も自ずとわいてくるのでは・・・というのが私の思うところで。ゆえ、今撮りためているストーリー周りなども、全部理想的なもので今押さえていっているところですので、こんな画面で展開されているんだ、というのが知りたい方はもう少々お待ちいただければと。
・・・これだけ、だと昨日のムービーだけで事足りるわけです。なぜ後編を用意したのか、となりますと・・・そう。まさしくその「アンチエイリアスの種類・度合い」を変えることで、「より見た目の変わるアンチエイリアシング効果を得られる」という実証例を挙げておきたいがため、なのです。
それはPSUでも一度SSAAとSGSSAAの微妙な違いというものを紹介してみたのですが、振り返ってみても・・・う~ん、とうなるしかないできばえにとどまってしまっていて。PSUの頃では素材や機器環境の兼ね合いで「これだ」という効果をお伝えするのは難しかったのですが、それがようやくPSO2でかなうものとなったのです。
今取り上げたSGSSAA・・・Sparse Grid Super Sampling Anti Aliasingとは文字通り「まばらな格子をスーパーサンプリングするアンチエイリアス方法」としており、その精度をよく使われるMSAA・・・Multi Sampling Anti Aliasingよりも高めたものを指します。
SSAA系に属するので画面全体を参照し、演算しますので、MSAAの弱点とされる「テクスチャ上のジャギーを取り除けない問題」を解消できるため、市街地のあのような複雑なところでもきっちりと処理してくれるわけです。PSO2においては唯一、影品質の設定に影響されない、一番理想とされるアンチエイリアス方法と考えられます。
反面、ジャギーを丁寧に取り除こうとがんばるため負荷がとても高く、また密度の濃い計算を行うことから処理能力がほかのサンプリング法よりも高いため、かなりの範囲で ぼけ が起きてしまいます。それは文字にも影響するため、無視できないものとなります。
その ぼけ を取り除くために・・・ピント合わせとなるLOD biasなる調整項目も用意されていますけど、このあたりは最後のまとめの時に簡単に触れられたら、と思います。今回取り上げている「SGSSAA系」という言葉は、厳密に自分で「SGSSAA」を指定しているのではなく、とあるパラメーターを与えるとあたかもそれと同じような効果を得られ、かつLOD biasをいじらなくても綺麗な画面が拝めるため、系 と表現しています。
まずはこのSGSSAA系の画面を頭に入れておきましょう。「ぼかしが強くとも、ジャギーを強力に取り除く方法」と覚えておけばGoodです。
そして・・・私が何度も取り上げて「これはいいよ!」と力説しているのが・・・SSAA Combinedと呼ばれる、SSAAとMSAAの複合系、16xSモードです。現状、影設定を3以下でしか指定できないのが難点ですけど、いかがでしょうか。
先ほどのSGSSAA系にあった ぼけ が綺麗にとれてくっきりとした画面でありながらも、クローリーが可能な限り抑えられた画面へと変化している様をご覧いただけることでしょう。
アンチエイリアシングにもいろいろな方法があり、それを適切に選ぶとこのように幅広い表現ができますよ・・・というのが、伝えたいことなのです。
こと静止画のみで語られやすいアンチエイリアスですが、実はその「静止画の積み重なりが、動画=映像」となるわけで、「小さな積み重ねが大きな変化を生み出す」ものとなっていることを、体感できればいいかな、と。PSUの頃から思い描いていた比較映像が、これで表現できたと思っています。
皮肉にも、PSO2開発スタッフさんの後一押しが足りないため(汗笑)、こんな話題を記してみたわけですけど・・・。きっと、「おお、なるほど」と伝わってもらえたらと思います。あえてちょっとカメラを早めに動かしているのも、「アンチエイリアシングがばっちりきまると、ちらつきも抑制される」ため、「速く動かしてもはっきり見える」のがポイントだったりします。
ビットレートはいずれも高めにとってありますので、1分前後に一瞬だけ見えるクラーリタ・ヴィサスのとがった先端部でもご覧あれ。たとえ小さくても、きっちり取り除けばそのディティールが浮かび上がるのです。それをクローリーで潰してしまうのはもったいないことかな、と。
それでも「16xSをもってしても、まだちらつきが少し見えるね」という部分の補足が、最後のムービーとなります。4本目をどうぞ。
4Gamerさんの話題に答えが記されているわけですけど、SSAAやMSAAはいわば古典的な手法にとどまっており、昨今の3Dゲームは現実世界に即したような表現・・・光源の存在によって、ライトが当たった部分の表現や、そちらから延びる影の質感。PSO2のセッティングにもありますよね。
「ブルーム」なり「ライトシャフト」、「映り込み品質」「影品質」。これらからよく「HDR・・・High Dynamic Range」と呼ばれる、新たな色を規定する部分まで踏み込むようになってきちゃっています。そう、PSUでも一部はありましたけど、PSO2はHDRと呼ばれる表現まで含めたところまで、実装はしているのです。
このライティング・・・光の当て方によって、壁面の溝がちらついて見えてしまうのも「Combinedモードでも対応しきれない表現」となっているのが大きいわけです。そのあたりを対処しようというのがFXAAであったり、TXAAであったり・・・いろいろな手法が今も継続して開発されているわけなのです。
ゆえ、ラストのムービーは・・・「光が当たらない状況・・・曇り空の場合はどう?」という一例です。4Gamerさんのところであげられていたガンマカーブ、が従来環境に近いような状態になれば、ご覧のようにクローリーは抑えられるのです。言い換えますと、「PSO2が本気でこの問題に取り組もうとするのであれば、TXAAもがんばって取り込んでみる」ような状態になると思います(汗笑)。
(ちなみに、PSO2に実装されているのはその中のFXAAと呼ばれるものに近い印象を受け、画面全体にぼかしを加えるようになっています。性能面と画質面のバランスをとったセッティングにはなっていると感じます)
というよりは、そこまで踏み込むともはや最新鋭のタイトルに限られてしまいますので(現状でも指折り数える程度しか対応していません)、最低限「NVIDIAさんのロゴマークを冠するくらいなら、同社が標準でサポートするMSAA/CSAAくらいはきっちり適用できるようにしてほしい」というのが本音です。FF14などは普通に使えちゃうみたいですからね・・・。
ゆえ、PSO2もこうして地道に「無理矢理適用させるためのパラメーター=Compatibility bit」を探している訳なのです。それも、まだ完全な値ではなく暫定値で・・・。それでも、PSO2クライアントにまだまだ問題が残されているようにしか感じられないため、まずはセガさんが本腰いれて取り組んでくれない限り、こちらも探すのはかなわないでしょう・・・と。
影の表現が変だというのはきっと皆さんも気づかれていると思いますし、3本目の16xSのムービーでも、建物の影の間にわずかな すきま が見えてしまい、明らかにおかしな表現のところ、ありますよね。これはあらゆる場所で確認できるため、どう考えても影の設定が変だとしかいいようがないと思います(4/5ですね)。
以前の結論で「影設定は3が本来の姿と思われ、4/5は無理矢理次世代感を演出するためにとってつけたような設定」としているのも、SSAA系には対応しない現象が物語っているように感じます。3以下なら問題なく、4以上で不都合が起きる・・・。オブジェクトなどに光を当てるところ・・・シェーダーに問題があるのでしょう。Vita版はどうやら3止まりみたいですし。
今回11月下旬~12月上旬でそのシェーダーを変更してみた、とありましたけど、このおかげで半透明のアンチエイリアスパフォーマンスは劇的と言っていいくらいに向上し、最低限この性能でなくては、という改善は見られました。
それでもまだ本来あるべき姿、にはほど遠いようで・・・。衣装も問題を抱えていたり、耳が飛び抜けてしまうのも相変わらずで。どこまで本気で修正・対応をしようかという部分が見て取れるところとなるだけに、がんばってほしいなあとは思います。
だって(失礼)・・・ミクさんチームではこんな衣装の表現もできちゃうわけで、そのノウハウを共有することは・・・かなわないのでしょうか。龍が如く5なども卓越した表現ですのにね。
どこかのインタビューで、PSO2は商業的には目標ラインを十分クリアはしたらしいですので・・・グラフィックスに力を入れるような動きも、少しはあってほしいかなとは思います。4Gamerさんのレビューを見ていると、痛いほど伝わってきますからね。
誰かさんの言葉ですごいものがありましたけど「究極のキャラクタークリエイト詐欺じゃないか、これ」・・・なんてものも(汗)。そういわれないようにも、ほんとがんばってほしいです。なぜなら、PSO2はこれが今のところ、一番みなさんに印象を与えている部分に他ならないからと思われるため。
運営さんも結局、PSUのその路線で動いているような印象を今のところは受けてしまいますので(スクラッチ、ですね・・・)、それならしっかりと「こだわり抜いて作り上げる」姿勢も見せていただきたいところです。せっかくクリエイトで綺麗に作って、出たら違うってどう考えても・・・。これならまだ、PSPo2よりPSUが評価できたように、こちらもPSO2よりはPSUが全然ましだったといえましょう。
市街地などは「近づくたびに壁面が姿を何度も変える」であったり、その他の場所も「近づくとぽこぽこと沸き立つオブジェクト」etcetc...あげればきりがないのです。
最後がなんだか余分になっちゃいましたけど、これらのムービーできっと「アンチエイリアシングの効果」、十分伝わったのではと思います。
「静止画だけではない」のです。
「美麗な映像で遊べるようになるんですよ」、ってね('-')/
『PHANTASY STAR ONLINE 2』公式サイト
http://pso2.jp/
From : lavendy | 01:40
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コメント
違いがわかりやすい動画、よかったです
こういうの実は好きでしてw
しかし同じゲームなのに全然違う・・・
ロビーのちらつきはキツイですねー
RADEONもできればなぁ・・・
From : S | 2012年12月25日 03:33
Sさんへ
そうでしたか(^^; 気に入っていただけたようで何よりです。
ほかのサイトさまなりでPSO2オプションにおける静止画の画面比較はされているところ、いくらかあるらしいようですので・・・でしたら、こちらは独自の内容でまとめてみようかなと考えたのが本稿となります。
アンチエイリアシングってみんな静止画の見栄えばかり気にされるようですけど、実は動画こそが一番影響大きいのですよ、というのが伝えたかったものなので。
厳しい部分になるのですが、なめらかな印象を出すためには単純に60fps以上をキープするというものもありますけど、そちらに加えて「ちらつきを抑制した映像」が折り重なり、初めて「CGアニメもどき」の完成。玄人さんはそちらを目指すわけです。
RADEONは本当に惜しいですよね。ハードはいいものができているのに・・・。
AMDさんに対応要望を送ってみるしかなさそうですが、何よりもPSO2開発チームがアルファテスト時に掲げていたRADEONロゴを、ベータテスト以降は取り外してしまいましたので・・・(@_@) なんでこのような状況になるのか、と思わずにはいられません。
今後に期待、でしょうか。
From : らべ | 2012年12月26日 14:12