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2008年10月28日
武器よさらば(その4)
武器よさらば、その4です。
武器商人さんが託す思いとは。そして、読者の方々に訴えたいことは一体何なのか。
それらがすべて、明らかになります。
「私、このゲーム大好きなんです」
唐突に、間延びだった口調がなくなり、快活なそれへと変化していた。だけど、不思議とそれまでと印象はかわらない。
「RPGって、本来こーゆーものじゃないですか。複数の人と架空の話で永遠に物語りを作る...多分、大抵の人にとって初めてのことだと思うんですよ(ぽむ)」
擬音は変化なしかい
「...突っ込み不許可」(←ショートカット)
はい
「レベル低い内は、割とみんな必死じゃないですか。だから協力もしますし、それがとても楽しかったんです。ですけどー」
「実は嫌いなんです私。スペシャルウエポンって...ほら、あれが出始める頃から、みんなかわっちゃうですから。いつの間にか、協力しなくなってるんです。部屋に入ると真っ先にアイテムに突進していきますし、敵がアイテム落とされるともの凄い早さで集まってきますし...勝手にどんどん自分だけで進んでいくようになりますし」
「...」
「ね、貴方、私が落ち込んでると思ったんですよね?どうして貴方はそう思ったか...解ります?」
ごめんよくわかんない
「うーん...じゃあ、質問かえます。第10問(←何故)どうして皆な、貴重品をあつめたい~!!って、思うんでしょうっ?」
はい先生。レアを探すのは男のロマンだから
「...何々ですかそれは(げし)」
何も蹴ることはないだろ
「多分、優越感と劣等感からなんです」
難しい話になりそうだった
「えーと、ようするにスネオさんなんです。皆さん」
「なんでいきなり漫画が...」
「...突っ込み不許可」
うい。
「誰でも人より上に立ちたいって気持ち、あるじゃないですか。その手段なんですよね、結局。誰ももってないアイテムを手に入れること、それを見せびらかすことで満たされるんです。ほら、スネオさんでしょ?」
なるほど。そしてそれを実力行使で奪うジャイアンはさしずめアイテム泥棒か
「...先読み不許可(ばきゃっ)」
痛い...
「例え続けますと、今ラグオルは、ドラさんの魔法の道具でその仕返しをしているのびたさんの世界です...」
「この漫画、落ちはいつも同じなんですよね。仕返しは始め成功しますけど、結局のびたさんがドジなところから崩壊して、こらしめられておわるんです。もっとも、こちらもそうなる保証はどこにもありませんけど...このままのびたさんが頂点でいつづけるかも。あはは」
「...」
「ですけど、のびたさんをこらしめても、それは解決ではないと、私は思うんですよ。ね、××さん、今の例え、一番悪いのは誰だと思います...?」
「...スネオ、かな」
「ぴんぽーん...正解...すーぱーひとしくん人形さしあげます...」
なにそれ(汗)
「そうなんです。最初からスネオさんが皆さんに見せびらかしたりしなければ、はじめからそこにいる人達に物を気軽に貸していれば、郷田さんは実力で奪いに走ったりもしなかったでしょうし、のびたさんも自分だけ仲間はずれにされて八つ当たりに走ったりもしないんですよ。」
だから...すーぱーひとしくんって...
「...つっこみ不許可っていってるじゃないですか...(じろ)」
う、うい
「私、多分取り戻したかったんです。最初の頃の感動...」
「それこそ、必死になってアイテム集めました。なんだか矛盾してるなって、自分でも思いましたけど...とにかく、集めたんです。友達にも頼んで、ネットワーク構築して、いろんなものを集めました。そして、冒険してくださった人達に安く売ってまわってたんです。」
...なんで
「貴重品が楽に手に入れば、心に余裕が生まれます。必死に宝箱をあさったり、アイテム集めに無心することもなくなる、また皆さん、楽しく気楽に冒険するようになってくれる...って、そう思ったんだと思うです」
「...」
「もっとも、現実はそんなに甘くなかったですけど。想像力に欠けてました...需要に供給がおいつかなくなり、私の手元には殆ど何もない日が多くなりました。それでもメールは毎日届きます。何か、いい入って武器ない?って...実は、今も来てるんですよあはは...」
...
「そんな中、最近、ふと気づいたんですよ。私がしてきたことと、今アイテムをコピーして配ってる人と...どこが違うんだろう...って」
...
「本当の事いいますと、私、落ち込むどころか嬉しかったりするんですよね、今の現状...アイテムが貴重でなくなった今、皆な私の望んだ姿になりつつありますから...冒険やこうして話すこと自体を楽しみ始めてくれますし」
...
「勿論、これまでアイテムを必死に探して手に入れてきた人達は、私みたいな自己満足で偽善者ぶる人や、複製品つくってばらまく人は大嫌いなんでしょうけど...でも、価値が下がったって、それがなんだというのです...?」
...
「アイテムは、それ自体は只の二進数です。そこに意味なんてないです。なんでもない道具なんです。大切なのは、それに自分だけの価値を宿せる人の心なんです。第三者的な価値なんて、どうだっていいじゃないですか。友達にもらったもの、自分で必死で手に入れたもの、それがコピーでないと自分だけが解っている事実。その記憶は複製されず永遠に残ります。それで十分なんです」
「...」
「...だけど...私のしてきたことは、その、アイテムを大事だと思う人達を冒涜する行為だと気づいたんです。だからこの商売はこれでお仕舞い。これからは一冒険者として生きるの」
...
「以上...まいえっせいでした...完」
なんて言ったらいいのか、よくわからなかった。ただ、やっぱり自分はこの子には永遠になれそうにない、そう思った。
「あ、もうこんな時間ですね...」
「あのさ」
「はい...?」
「俺...俺は、君にアイテム貰って、凄く嬉しかったよ。自分でみつけた何より嬉しかった」
「あはは...ありがとうございます...(おじぎ)」
口調は既に元の間延びする変な人に戻っていた。擬音を語尾につけるのは相変わらずで、変わらない。
「あれ、やっぱりいつか返すよ。自力だから、いつになるかわからないけど...やっぱり返したい」
「...」
「...承知致しました...返却されるのを心待ちにしております...」
「返せたら、君の冒険仲間に加えてくれよ。召使いから騎士までなんでもござれだ」
「あはは...承知致しました」
「うん...それと...あー」
「...?」
「最後に、一つお願い、聞いてくれないかな?」
「はい...なんでしょう...なんなりとおっしゃってください...(不安)」
不安て
「えっと、俺を最後の客にしてくれよ」
「...?」
「うん。君の輝かしい商歴の最後の客になりたいんだ」
合点がいったらしく、その子が笑う。
「はい...わかりました...ええと、今当店にありますのは...」
提示されていくアイテムのリスト。これだけ集めるのに、この子とその友達がどれだけ時間を割いたのかは解らない。だけど無駄だったとは思わない。少なくとも、彼女たちに、俺は救われたのだから。彼女の言葉通り、それは複製されずずっと残る。
「何を希望されますか...?えっと、」
「一度につき一人一つ。約束だもんな」
「はい...」
勿論、初めから注文する武器は決まっている
「ソウルバニッシュ」
この話はこれで終わり。編集が下手だから多少おかしいかも。だけどもう続けないし訂正もしない。俺達の先は想像に任せます。
最後だからなるべくカットせずにそのまま情景を書いた。勿論詳細は違うし俺の個人的な想いから自動的に脚色されている可能性は否定できないな。惚れた弱みかな(苦笑)
これまで読んでくれた全ての人に、心から感謝を込めて。
堂本 江住
From : Lavendy | 12:22
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