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2014年07月20日

NVIDIA Inspector 覚書(おぼえがき) グラフィックス編 - Sync and Refresh セクション

その2、Sync and Refresh セクションです。
ゲーマーさんなら要チェックとなる項目でしょうね。


 - NVIDIA Inspector - NVIDIA Inspectorバージョン1.9.7.3からCommon項目内にあった「垂直同期周り」のお話を切り出して、新設された部分になります。ゲームの「動き」の部分に決定的な項目となり、正しく設定できると「感動の度合い」も変わるほどとなります。

ディスプレイに表示される部分の調整、ということはすなわち「映像表示部の土台の設定」を意味するわけで、とても大切な部分です。ぬかりなく設定しておきたい箇所となりますので、がんばってトライしましょう。


よくご自身が遊ばれているタイトルで、「一定周期だったり、不定期だったり、画面が波打つような、ちぎれたような現象」を目の当たりにしたことはありませんか? そのような現象を「テアリング(ティアリング)」と呼んでおり、「適切に設定をすれば、防げる現象」ともなっています。

ですが、タイトルによっては本設定を持っていないものもあり(PSO2のことです・・・)、そのような場合は本項目から設定できますよ、と。

実際にティアリングが起きたときの画面の様子は、海外のWikipediaに木の映像がサンプルで用意されていますので、ご覧になれば「ああ・・・見たことあるかも」となるはずです。

そのあたりについては、解消する技術の発表会を元に記されている、GAME Watchさんの記事が詳しいですので、一度ご覧になってみてください。詳解するとなると1つのお題ができあがるほどですので・・・私が記したページは下段参考にしてください。

NVIDIA、ティアリングやカクつきから完全解放する「G-SYNC」を発表

PSO2におけるチラつき、カクつき、テアリング(ティアリング)の問題


予備知識として、持っておくとスムーズに進められるはずです。
では、いざまいるっ!


「Frame Rate Limiter」

PSO2で悲劇が起こった「フレームレート(FPS)制限」に関する設定項目です。文字通り、「最大フレームレートに制限をかける」オプションとなっており、プルダウンから選べる設定値で、好みのフレームレートを選択するといったものです。

ここで気になるのがおそらくハイエンドゲーマーさんになると思いますけど、「144fpsの設定値はないの?」と訊いてくることでしょう。これは隣のビット値をご覧いただけると気づくところとなるはずですが、そう、16進数で設定するのです。

ゆえに「144Hz対応モニターを利用の際、144fpsに制限したい」場合、本値には「0xF0000090」と打つのが正解となります(144=16*9)。そのように入力し、Apply changesをクリックすれば問題ありません。お試しください。こちらについては今後のアップデートで改良される可能性はあるかも知れませんね。


ほか、一部項目・・・たとえば「58 fps ( might improve inputlag on vsync 60Hz )」といったものがありますけど、これは「ディスプレイは60Hzだけど、コントローラーで入力すると微妙に遅れを感じる」といった時、実際にはそれから1~2フレーム程度 ズレ があるような場合。そんなときに使ってみてください、といった内容になっています。

また75fpsや85fpsといったものは、今もなおCRTディスプレイを使い続けられている方や、一部の液晶ディスプレイでサポートされる特殊なフレームレートになります。思い当たる方は、こちらにセットすることでよりなめらかに見えるようになることでしょう。

いずれにしましても、何度も反復して設定を試行錯誤し、ご自身で違和感のない値を探すことがポイントになります。主に、最後に記してある「Vertical Sync」機能を用いない方が、唯一フレームレートを固定し、発熱抑制や消費電力低減を図る項目となります。

・・・ですが、120fps以上というのはグラフィックスカードに相当負担がかかっていますので、効果はほとんど感じられないのかも。むしろ、処理落ちしたときのペナルティーを必ず気にされるはずですので、制限する意味も「このランクの方々なら、あり得ない」ことでしょうしね。


「GSYNC - Global Feature」

GSYNC(GPU-Sync)と名付けられたこの技術は、「これまでで最もなめらかで高速なゲーム体験をもたらす、画期的な新しいディスプレイテクノロジ」です。

具体的には今まで「ディスプレイのリフレッシュレートにGPU側が合わせていた」仕組みを逆転させ、「GeForce GTX搭載のPCのGPUに、『ディスプレイ側が同期しにいく』点」が大きな違いとなります。

つまり、ディスプレイ側のリフレッシュレートが「可変速になる」ため、多少の処理落ち=カクつき=スタッタリングが気にならなくなるメリットがあります。

そんなGSYNCの設定パラメーターで、Global Featureとありますけど、推測になりますが「GSYNCにまつわる各種機能を使えるようにするか、しないか」といった値と思われます。つまるところ、ディスプレイ側にある各種設定を正しく使えるようにするパラメーターなのではないでしょうか。

たとえ対応ディスプレイをお持ちでなかったとしても、よほどの理由がなければOffにすることはないでしょう。初期値はOnとなっていますので、そのままで問題ないものと考えられます。


「GSYNC - Requested State」

直訳すると「要求済みの状態にする」といった意味合いだと思いますが、意訳すれば「ゲームアプリケーション側がGSYNC対応モニターを検出できるようにするか」、といった項目なのかなと。

上記Global FeatureもOnになっていますので、セットでOnにしておけるといいのかなと思います。現状、対応モニターを持っていなくても、On/Onで全く問題はありませんしね。なので、下手にOffに切り替える意味合いに乏しいと思います。


「Maximum pre-rendered frames」

これは「CPU側で何フレームまで作成=貯めておけるか」の量を指定するもので、主に「描画負荷が高まって処理落ちしたとき」に効果を発揮します。

イメージとしては少々前になりますけど、CDやMDのポータブル機器で、再生中に衝撃を与えたときに音が飛ぶような現象。カーステレオなどもそうでしょうか。その症状に対応するにあたり、バッファ=メモリ=音楽データの貯蔵庫を作っておいて、データが読み出せなくなったときにそちらから読み出す機能が備わっています。その機能のゲーム版と思っていただければ。

数を増やせば増やすほど、それだけ「貯蔵しておけるフレーム数が増える」ことになりますので、処理落ちに強くなるメリットがあります。貯蔵がなくなる前に処理速度が回復すれば、「処理落ちしたようには見えなくなるから」、です。

反面、それだけのフレームを貯めることからコントローラーからの反応が鈍くなってしまったり、ビデオメモリをその分多く消費するといったデメリットも抱えることになります。

ですので闇雲に増やすのではなく、「処理落ちを体感しにくい、ギリギリの値」を設定するのがポイントになります。もちろん、格闘ゲーマーさんや音ゲーマーさんは「1」一択になりますけどね。「1フレームの刹那を体感できるような人」にとって、貯める=遅延を伴うというのは御法度になりますから。

なお、SLIでは本設定は有効にならないようですので要注意。私の環境下では確かに値をいくらにしても特に変わる様子はないのでした。環境によって変わる可能性もあるかもしれませんので、気になる方は試してみるといいのかも。


「Prefered Refreshrate」

垂直同期の優先度を選ぶ項目で、「Use the 3D application setting」(3Dソフト側の設定を優先する)か、あるいは「Highest available」(ドライバー側で最高のリフレッシュレートを引き出す設定)の2つから選択可能です。

ゲーム/アプリケーションソフト側に垂直同期の設定があるのでしたら前者でかまわないでしょうし、ない場合で「とにかく最高のリフレッシュレートを引き出したい」という方は、後者のドライバー側で最大値を引き出せるようにセットしておくといいでしょうね。

こちらの設定は下記4項目にまたがって適用されますので、切り分け方としては「ドライバー側ですべて明示的に設定する」場合が後者、後の方は何も気にせず初期値の前者のままで十分でしょう。


「Triple buffering」

トリプルバッファリングを使用するか、しないかの項目。基本は使用しないようになっていて、下記「Vertical Sync (Vsync)」がOnの時に最大限生かせる仕組みとなっています。

映像を表示するとき「現在処理中のフレームを表示する表側のメモリ(絵を格納しておく部分)」と、「次のフレームの描画を仕込んでおく裏側のメモリ」の2つで通常は処理されます(ダブルバッファリング)が、それとは別にもう1枚「クッション用のメモリを用意する」のがトリプルバッファリングです。

トリプルバッファリングを利用すると「瞬間的に負荷が増大しても、ゲーム表示部でフレーム落ちをしたように見せない」錯覚を期待できるようになります。いわば「高度なごまかし」ができるようになる部分ですね。上記の Maximum pre-rendered frames に似たような部分となります。

ですが、こちらが有効になるのは「Vertical Sync が On の時」のようですので要注意。そちらをOnにした際「1フレーム遅延が発生していることを体感できない」ようなら、「Onが処理落ちにも強くなりますよ」といった項目となります。試行錯誤してみましょう。最後に設定例を載せますね。


「Vertical Sync Smooth AFR behavior」

これはSLI構築時に発生する「微細な振動(stutter/カクつきのようですが)」に対応する項目とされ、グラフィックスカードを2枚以上使われている方で「AFRモードを利用している」際、画面描画に違和感のある方が試してみるといい項目になります。

ただし「Vertical Sync」がOnの時に利用する項目となりますので(基本、Offは「ちらつきなどは我慢することが前提」なので・・・)、セットで利用することになります。気をつけましょうね。

組み合わせ方は最後に記します。


「Vertical Sync Tear Control」

鳴り物入りで登場したものの、あまり見向きのされない悲運な技術?の「Adaptive VSync」を使用するか否かの項目です。これは「Vsyncは基本有効にしておき、負荷が高まって処理が追いつかなくなったとき、動的に、瞬時にVsyncを解除して『できるだけ処理落ちしたように(カクつきを)見せないようにする技術』」となります。

が、先ほども記しましたように、1フレーム遅延を争うようなシビアなゲーマーさんはVsyncそのものがあり得ないという発想だと思われるため、利用するメリットはあまりないとされています。

Vsyncを常時使っていて、処理落ちしたときの「カクッとコマ落ちしたような現象(通称 カクつき)」を「できるだけ和らげる項目」、ととらえておけたらいいかも。

なお、PSO2においては対応していないためか、描画が乱れるような印象を受けます。今後のドライバー改良で改善されるのか、クライアント側で対処できるのかetcetc...。あまり使わない部分なのかも知れませんね。こちらも、組み合わせ方は次の項目でまとめます。


「Vertical Sync」

通称 Vsync と呼ばれる本部分。上3つ分にまたがる根源の項目となっており、日本語訳では「垂直同期信号」と呼ばれるものです。モニター、ディスプレイ、テレビといった映像表示機器は、この信号=タイミングを元に映像を表示しています。単位はHz(ヘルツ)。一般的なモニターは60Hz(1秒間に60枚の静止画を連続)で表示させるようになっています。この基準となる値を「リフレッシュレート」と呼びます。

よくあなたがゲームで遊んでいるとき、画面が引き裂かれたような現象を目の当たりにしたことはありませんか? そのような症状を「テアリング(ティアリング)」というわけですが・・・といったことを、冒頭で解説した部分となります。


基本値は「Use the 3D application setting(アプリケーション設定に依存する)」となっており、そのほか「Force off(強制的に無効化)」「Force on(強制的に有効化)」「1/2,1/3,1/4 Refresh Rate(リフレッシュレートの1/2,1/3,1/4)」などがあります。

VsyncをOnにすることのメリットは「テアリングを回避できる」「余計なフレームを描画しなくなる(上限でリフレッシュレート止まりになる)ため、グラフィックスカードに余分な負担を強いない=発熱の抑制、それに伴うファン回転数の低下、消費電力の低減」といった、「環境面でストレスを覚えなくなる」ことです。ゆえ普通のプレイヤーさんなら入れることでのメリットが大きいため、Onでいいとは私は考えています。


ですが、何度も記している「シビアすぎるゲーマーさん(反射神経速度として『0.1秒未満さえ体感できる』ような人)」があれやこれやと気にされる項目だと思いますので、ずばっと言ってしまいますが「仕組みや理論をわかっている人で、気にされるくらいならOffでいいのでは?」ということ。

「Onにすることで遅延を体感できるほど」なら、Offにすべしだと思います。Onにすると確実に、わずかながらでも遅延は発生するわけですから。画質云々は、現行のPCゲームの宿命と思って、あきらめましょう。近いうちに登場するとされる改善策に期待したいですね(最後に記載します)。

(ただ、その遅延のレベルが0.1秒以内なので、普通の人は知覚・認知すらできない・・・そういうことです)


さて、この密接に並ぶ垂直同期関連の4項目ですが、設定のルールがあります。基本的に「遅延が発生するのは絶対に厭だ」という方は、何をする必要もありません。初期値は「すべて無効、ゲームソフト依存」となっているので、ゲームタイトル側で調整すれば完了になりますので。

そして、「Onにしてなめらかに遊びたい」という方が、何点か気をつけていただきたいと思います。並べ方としてはInspectorの表記と同じように、上から順に「Triple buffering」「Vertical Sync Smooth AFR behavior」「Vertical Sync Tear Control」「Vertical Sync」とします。


☆最大限なめらかにしたい
 On - Off - Standard - Force on
 On - On - Standard - Force on(SLIユーザー向け)

★なめらかにしつつ、処理落ち時のカクつきを抑制する
 Off - Off - Adaptive - Force on

☆遅延、絶対、ダメ
 Off - Off - Standard - Force off


理想はいいとこ取りの★設定だと思いますが、PSO2をはじめとしたいくらかのタイトルで、Adaptive VSyncが適切に動作しないケースがあるようです。ドライバーのバグなのか、クライアントの最適化不足なのかはわかりかねますが、問題が起きやすいものとお考えください。ゆえ、最大なめらか or 遅延No の2つに分かれると思います。

私としては「見た目に与えるインパクトが大きい」ことや「発熱の抑制」「ファンノイズを減らせる」「それに伴う埃流入低下」「消費電力の低減にもつながる」ため、最大なめらかをおすすめしたいところではありますが・・・。

「遅延が気になってしょうがない」「絶対排除しなくてはならない存在だ」、と、熱い情熱をお持ちの方なら。

発熱が増えようと、それに伴いファンの音がやかましかろうと、消費電力が上がろうと、最悪グラフィックスカードが熱で故障しようと、Offでがんばれるものと思っていますので。ぜひそちらで楽しんでみてくださいね。上位グレードのカードなら、そのあたりもばっちり作り込んであるはずですから、恐れる必要はないと思いますよ。


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ふぅ・・・。ここがおそらく疑問の巣窟だったと思いますけど、いかがでしたか。一番長いような気がしますね(@_@)

特にテアリングと遅延の問題は、コンピューターゲーム、とりわけパソコンゲームにおいては「OS側での問題」「物理層的な問題」「ゲームタイトルの問題」etcetc...。問題点がいろんなところに潜んでおり、一つ一つ丁寧に取り除く姿勢がないと、効果を最大限に得ることがかなわないという、鬼門となる領域です。

家庭用ゲーム機が、如何に簡単に、綺麗に楽しめるかがうかがえるというものです。


きっと相当する語句で検索すればいろんなサイトが見つかるとは思いますけど、私としても理論や理屈、とても大切だとは思いますが。この部分に関しましては「いくら情報武装をしたとしても、最終的にはあなたの身体がすべてを物語る」項目となるため、

数多の文章に惑わされることなく「ご自身にあう設定を何度も何度も試行錯誤し、見つけ出すこと」「また、その手間を惜しまないこと」でしょうね。一度そのセッティングさえ見つけ出してしまえば、後はどんなタイトルでも同じ設定でいいわけですから。


NVIDIAさんとしてはその問題を解決する仕組みとして、「G-SYNC」(じー(ぴーゆ-)・しんく)なるものを開発、近日対応製品が投入予定とされています。が、対抗馬としてAMDさんが立ち上げ、VESAさんがとりまとめた「Adaptive-Sync (AMDさんの旧称 FreeSync)」なる規格が、DisplayPort 1.2aの規格として策定されるようになったのだとか。

このようなものは独自規格よりも標準規格が幅をきかせることが多いですから、何となく、Adaptive-Syncが普及しそうな気はしますけど・・・。どちらもいまだに製品を出していないため、今後の展開次第でしょうか。

ただ、無料というのは大きいですので(特に最近話題の4K液晶テレビ)、そのようなものに導入され続けていけば、市民権を獲得しそうな気はしますけどね。G-SYNCは専用モジュールを入れないとならないのがつらいところです。どこも追加コストが発生することだけは避けたいはずですからね。


垂直同期周りのお話は最近のもので、PSO2での悲劇・・・グラフィックスカード焼損の報を受け、即時公開したのがFPS制限のお題でしたしね。アクセス数はかなりのものに上りました。

まさかメーカーさんが今時のタイトルで垂直同期を実装しないなど考えられないことですけど(前作PSUにでさえありましたしね)、そのようなタイトルを前にしたとき、本項目はとても意味のある部分となります。各種項目を把握し、適切に設定できるようになれば、本ソフトの一端を使いこなせている、といっても差し支えないでしょう。

一度見いだしてしまえば、こちらもほとんどいじることのなくなるパートでもありますので。面倒でも、最初はいろいろ試してみることをおすすめします('-'*)


『PHANTASY STAR ONLINE 2』公式サイト
http://pso2.jp/

From : lavendy | 12:00