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2011年04月22日

P8P67の使い方 ~ オーバークロック周り その3

前回までに紹介できなかった部分を記載しておきますね。


私なりには評価できるバージョンだと思われるBIOS 1506。安定するセッティングを見つけて、本記事もIntel Burn Test V2にて最大負荷をかけながら記していますけど、今のところこれといった不具合は見つからないです。

B3ステッピングになったことが影響しているわけではないでしょうけど、着実に完成度は上がっているように感じます。5/12発売予定となったZ68チップセット。おそらくこのモデルの置き換えはP8Z68、といった名称になるのでしょうね。

ネタとしてP8Z68V-PROなるモデルのスペックシートは公開されちゃっているのですが、ミスなのでしょうか、これ。

私としてはエンコードの部分がハードウェアで行えるのが魅力となりそうですけど、Sandy Bridge Eも姿をぼちぼちと現してきているので・・・後1回、その他の部分を記した後に書いておこうと思います。どうやら「棲み分け」がこのあたりから明確になってきそうです。


AI Tweakerは前回までに記しましたが、残る部分はAdvancedタブの中にあるCPU Configrationと呼ばれる項目になります。といっても、設定する部分はほとんどありません。ただし、意味はしっかり押さえておきたいところです。


こちらの項目はすべてで12あるのですが、実際に設定する箇所はずばり一つのみです。その項目とは・・・? そう、一番上にある「CPU Ratio」です。前にも記した、CPU倍率はこちらからセレクトできるわけですね。

つまり、極論を言ってしまえばAI Tweakerを全くいじらないフルオートの設定でも、この倍率を任意の値に引き上げ、それで動いてしまえば何も調整する必要はないのでした。ただ、ほとんどの場合はそれだけでは動かないため、手動でAI Tweakerをいじったりして、自分なりの適切な値を探っていくわけです。

なので、まずはCPU Ratioを自分の任意の値にしてしまうところが、オーバークロックの始まりとなります。記したとおり、「Kつきモデルは任意の値(ただし現状では56倍程度が限界の模様)」、「KなしモデルはTurbo Boost時のクロック倍率+4倍」です。、K付きならほぼ自由に、なしなら+4倍までとなることを覚えておけばそれほど難しい部分ではないでしょう。値はテンキーから直接入力するか、+-のボタンで増減させられます。

ちなみに、こちらでセットする値は前回紹介したCPU Power Managementと同じため、どちらか一方でセットした値が共通で採用されるため、あちらで設定した場合は自動的にその値になっているはずです。


以上、オーバークロックの設定の際に必要なものはこの一つだけなのでした。
(厳密にはもう一つありますが、CPU C1Eの部分をどうぞ)

もしもその他の項目も詳しく知りたい、という方は下の部分もご覧ください。


Intel Adaptive Thermal Monitorは文字どおり、温度センサーを意味します。こちらがEnabledになっていると内部温度が著しく上昇したと判断される場合、クロックを落として冷却をはかりますので、限界を目指す人はDisabledにした方がいいのかもしれません。その際は言わずもがなですが、冷却周りはしっかり気を配らないとえらいこっちゃになりかねません。


Hyper-threadingはよくHTと略される部分ですが、一つのコアに対して仮想的に2つの論理プロセッサーを構築し、2スレッドを同時に処理できるようにする仕組みのことです。人によってHTのありなしにこだわる方もおられることでしょうから、こちらは任意に設定しましょう。基本はEnabledで問題ないはずです。


Active Processor CoresはCPUコアをいくつ有効にするかを選択することができます。人によっては2コア2スレッドが得意なCPUをつかんだり、3コア6スレッドあたりがよかったりなど、こちらもこだわりを持って設定したい方向けの内容といえるでしょう。初期値はすべてを有効にするAllとなっており、その他は1~3の間で増減できるようになっています。


Limit CPUID Maximumは難しい項目ですが「CPUID命令が実行されたとき、OSがCPUIDのEAXレジスタに書き込むことのできる値(=3)よりも大きな戻り値をCPUが返すこともあり、特定のオペレーティングシステムで問題を引き起こす原因になる」というものです。Enabledにすると戻り値は3以下に制限されて問題を起こさないようにしますが、この問題はWindowsシリーズでは発生しないため、Disabledで問題ありません。


Execute Disable Bitは不正なプログラムによるバッファーオーバーフローの悪用を防止するための機能で、メモリー領域を監視し、不正なプログラムがデータ保存領域で動作しようとするとエラーを発生させて動作不能に陥ることを防ぎます。略してXDとも。こちらも初期値のEnabledで問題ないでしょう。


Intel Virtualization Technologyは使う人は使っていると思いますけど、詳しいことはこちらを読まれるといいでしょう。起動しているOSの中に別のOSを起動する操作をスムーズなものとします。略してVT。VT=仮想化機能を使わなければ初期値のDisabledのままで支障ありません。


Enhanced Intel SpeedStep Technology・・・略してEISTは負荷に応じてクロックスピードと電圧を自動調整し、省エネと高パフォーマンスを両立させる技術のことです。昔はSpeedStepと呼ばれていて、2段階でしか切り換えができなかったものを、より柔軟に行えるようにしたものです。初期値のEnabledにしておかないと定格動作しかしなくなります=ターボモードが使えなくなるので、こちらもそのままにしておきましょう。


Turbo Modeは上記のEISTがEnabledになっていないと現れない部分となっています。ゆえにEISTはEnabledにしておきましょう、というわけですが、こちらがいわゆる「オーバークロックの際にプロセッサーコアを特定の条件下で通常周波数よりも高速に動作させる」項目となるため、Enabled一択となります。写真がグレーアウトしているのは、CPU倍率を固定しているため(42倍)必然的に有効になっている現れです。


CPU C1EはC1 Enhanced Halt Stateとも呼ばれ、CPUを休止状態にする機能です。Auto/EnabledにするとCPUは何もタスクを実行していない場合に、消費電力を抑えた状態へ下のように遷移します。

C0 通常動作状態:OSなどでアプリケーションなどが実行されている
C1 Halt状態:Halt命令の実行によりCPUコアのクロックが停止
C2 クロック停止:CPUコアとバスのクロックが停止
C3 Deep Sleep:クロック生成機も停止
C4 Deeper Sleep:Vcc(CPUへの供給電圧)を低減
C6 Deeper Power Down:コア毎8KBのSRAMへI/Oレベルの電圧を供給、それ以外は停止

CPUはC0>C1>C2>C3>C4>C6へと内部動作を順次停止していき、それぞれ適切な省電力状態に移行します。このあたりの詳細を読まれたい方は、下記話題が参考になると思います。

■後藤弘茂のWeekly海外ニュース■ Atomの省電力技術も搭載したNehalem

もしもオーバークロックをかりかりにしたい、動作速度を下げるような要素を排除したいというのであれば、Disabledにするのもありでしょう。


CPU C3・C6 Reportについては上記の状態移行をOS側に通知するかしないかという内容のようですが、Autoのままで問題ないと思います。省電力は気にしない、というオーバークロック重視の方ならこの3項目はまとめてDisabledにしておくといいでしょう。


・・・という感じで、以外と詳しく書くと長くなる内容ですけど、結局触れる部分はCPU RatioかCPU C1Eの2つあたりでしょう。私の場合は倍率のみしか設定していません。

せっかくなので、オーバークロック周りの部分で、補足となるToolタブも触れておきますね。


Toolタブの中には三つあり、そのうち一番上にあるのがこちらの ASUS EZ Flash 2 Utility 。BIOSアップデートはどのようにしたらいいですか?という部分になりますけど、公式サイトなり、FTPサイトなりからBIOS ROMファイルをダウンロードしてきたら、そちらをUSBメモリにコピー(場所はトップディレクトリ=メモリに直接コピー)すればOKです。そちらを差し込んだままユーティリティーに入ると、対象のBIOSファイルが見えるはずです。

後はそちらを選んでEnterキーを押すと、アップデートしますか、の問いかけが出るので、そのまま実施しましょう。約40秒程度かかるので、そのまま待ちましょう。アップデート後は初期値に戻ってしまいますので、再度ご自身で設定値を読み込み直しましょう。

あと、よくあるのが「アップデート後、真の意味できれいに再セットをしたい=不安定要素を排除したい」という方は、取扱説明書にもあるのですが、「CMOS保持用の電池を取り外して、CMOSクリア、その後に電池を入れて起動」しましょう、というものです。

確実な読み直しは電池の抜き差しで行えるという、盲点みたいな場所ですけど、こちらも忘れずチェックしておきましょうね。


お次は ASUS SPD Infomation 。装着しているメモリのSPD(Serial Presence Detect)情報を表示するものです。メモリーモジュール上にあるEEPROMへ、自身に関する情報(チップの種類や構成、メモリー容量、ECC(Error Corecting Code=誤り訂正符号)やパリティの有無など)が格納されており、電源が入るとそれを読み出し、設定が行われます。

標準的なメモリはJEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)規格に基づいており、DDR3であれば最近主流なのが1333MHzとなっているため、Frequencyを見るとそのパラメータが書いてあることが多いでしょう。

私の一例ではその隣にXMP #1と書いてあるのがわかると思いますが、オーバークロックメモリを利用されている場合はX.M.P.規格に対応している場合、こちらに表示されます。こういった細かい部分を手動でチューニングしないとならないため、XMPを利用すれば手軽にオーバークロックを楽しめるわけですね。

もっとも、それはベースクロック(BCLK)をいじってOCする場合に柔軟性があったというだけで、CPU倍率変更でのOCにはあまり意味がないのでした。それでも、高速なメモリはそれだけCPUの演算結果を素早く受け渡しできることに他ならないので、重視するアプリケーションを使用している場合(科学技術関連の計算や3Dレンダリング、エンコードなど)には恩恵が多少なり出ることでしょう。


最後になるのは ASUS O.C. Profile 。こちらにご自身で各種設定したパラメーターを、最大で8つまで保存できる場所となります。Add your CMOS Profileと書いてある部分に Label がありますけど、こちらでわかりやすい名前をつけておきましょう。この場合は初期状態を意味するDefaultと書いています。何でもかまいません。

そうして決めた後に Save to Profile にある数字、こちらの番号へプロファイルを保存することになります。登録状況は上に表示されていますので、好きな場所を選び、Enterしましょう。すでにある場合は「上書き」となりますのでご注意を。

下にある Load CMOS Profile 内の Load from Profile にて、任意の番号を打ち込んでEnterをすると、格納されているプロファイルを読み込むことになりますので、OCにはあまり意味をいろいろ試していて、やっぱり戻したい、というときにはこちらを使いましょう。


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・・・かなり長くなりましたが、以上でオーバークロック周りの紹介はおしまいです。実際のOC事例などはほかのサイトなどがたくさんまとめられているでしょうから、いろいろ探してみてください。

私としては、安定性の部分をさらに探るべく、新たなオーバークロックメモリを2つほど検証しましたので、そのときに一例として取り上げたいと思います。

投稿者 :lavendy  |  2011年04月22日 12:15

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コメント

SLOT1 SLOT3のメモリスロットにメモリを挿すとBIOSが起動しなくなり四苦八苦していたのですが、(MemOKも効かず)
BIOS1506に更新したところ解決しました
貴重な情報をありがとうございます

投稿者 :Anonymous  |  2011年04月25日

次の話題を記す前に解決されたようで何よりです('-'*)

海外の有志さんたちで作り上げたところみたいですが、各社の最新BIOSが公開されているので、一歩先を見たい人は押さえておくと便利でしょうね。

情報を制するものは現在(いま)を制する!みたいなところでしょうか。にはは。

投稿者 :らべ  |  2011年04月25日

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